Q.以前から肩こりがありましたが、2〜3週間前に寝違えたようで、その後、左肩から手にかけて痛みとシビレが出て、だんだん強くなるので困っています。
A.症状からは頚椎症、中でも頚椎症性神経根症と考えます。
頚椎の左上肢(手・前腕・上腕・肩)を支配している神経の枝分かれをしている部分(神経根)が圧迫されて症状が出たものです。
頚椎症は、加齢現象により頚椎が変形したり、脊柱管や椎間孔が狭まることで、周辺の神経、内部の脊髄、神経根が圧迫されて、症状が発生します。
頚椎症のなかにも様々な症状があり、
・頸部痛、肩こりなどの頸部周辺の症状が主体の「変形性頚椎症」
・片側の上肢の痛み、シビレなどの症状が中心の「頚椎症性神経根症」
・四肢のシビレ、手指の機能障害、歩行障害が主体の「頚椎症性脊髄症」
と呼んでいます。
変形性頚椎症、頚椎症性神経根症に対しては、鎮痛剤の投与や牽引などの物理療法の効果が期待できます。
症状が強い時は、頚椎カラーとよばれるもので固定をし、局所の安静を保持したり、ステロイド剤の投薬、注射、神経ブロックを行うこともあります。
頚椎症性脊髄症でも、初期の上肢症状に対しては同様の治療の効果がありますが、手指の筋肉の萎縮、歩行障害などが出現した場合には、保存的治療は無効な場合が多く、排尿障害が出た時には、脊髄の不可逆性変化が起きる前に手術をしたほうが良いと思われます。
幸い、神経症状を伴う神経根症と脊髄症の割合は、9対1と圧倒的に根症状型が多いので手術になることはあまり多くありません。